私の登山撤退記 第1話 白馬岳はとんだ暴れ馬だった話
撤退それは登山をする者ににとって遅かれ早かれ避けては通れない出来事であろう。
そんな悔しい体験をして涙を飲んだ者、ハンケチーフを「悔しいざます!!」と噛んだ者、地団駄を踏んだら雪崩を呼び起こしてしまった者などが主にいらっしゃるかとは思います。
しかしながら悔しい体験も得られることはたくさんあるし、撤退するには勇気も必要です。頂上に登れようが、登れまいが登山は登山じゃ!!
まじめを絵に描いたようなブログを目指したいですが、対極の星に住んでいる当ブログですので、「今度白馬岳に撤退しに行こうぜっ!」ていう方は参考にしてください。
白馬岳(しろうまだけ)は標高2932mの山で北アルプスの北部のエリアにある後立山連峰の一角です。
ていっても撤退したから登ってないんですけどね、、、白馬大池の小屋でペロりました。
この山も日本百名山ブランドを冠しています。
以前、四国の剣山も撤退してますが、これからは撤退シリーズとして白馬岳を記念すべき第一弾で書かせていただきます。
願わくば、このシリーズの話が増えないことを祈る。
2017年6月2日22時 新宿バスタに集合します。
私は年に一度、元職場の大先輩であるお師匠に残雪の山に連れて行ってもらっている。
残雪の谷川岳に初めて登り、雪山の面白さと恐怖を知り残雪の槍ヶ岳で初めて標高3000m越えの山に登りました。
そして今回は白馬岳を登ろうと意気込んでやってきたのでした。
ということで今回のメンバーはお師匠とお馴染みの山部リーダーのsea-nov氏に私を入れた3名です。
残雪の槍ヶ岳の話はこちら↓↓↓↓↓↓
kitasennju-yamabu.hatenablog.com
まずは高速バスで栂池高原を目指します。
今回のルートは自家用ジェット機で山頂に降り立ちドンペリで祝杯をあげるプランを練っていましたが、予算の都合で栂池高原から白馬乗鞍岳を経て白馬大池から白馬岳を目指すプランに変更しました。
おはようございます!時刻はAM6:00です。
久しぶりに高速バスを使いましたが全然眠れませんでした、、、
そんな睡眠不足の我々を栂池バス停3兄弟が出迎えてくれました。
さっそく栂池高原のゴンドラ乗り場を目指します。
すぐに本日の目的である白馬岳が眼前にドドン!と現れました。
雪山を登る前に必ず思うのですが、あの山頂に立てるのか?と不安に駆られます。
安心せい撤退じゃ、、、
模範的な「なんでやねん!!」でお馴染みの栂爺は栂池高原の名物じいさんです。
ピノキオのモデルとなったと言われてる、、、というのは私の勝手な妄想です。
テキトーですからこのブログ。
ゴンドラの稼働時間が8時からだったので、準備をして待ちます。
それでも時間とロマンスがありあまる方はパノラマデッキへ行きましょう。
なんかアルプスぽい雰囲気は出てますね。
暇つぶしにも飽きてきた所でチケットゲット!!
使い回しなのか?そうなんだな??
5月5日の集客数はイマイチだったのでしょうか?
ゴンドラを待っていると何やら騒がしい、、、
どうやら中国からの団体さんらしい。みんな写真撮影に忙しそうだったです。
チケットを爆買いされる前にゲットしておいてよかったわ、、、
団体さんを見つめる栂爺の背中に哀愁を感じながら、しばらく下界とはおさらばします。
ってすぐ帰ってくるんですけどね〜(涙)
sea-nov氏は残雪の高山に登るのは初めてだったりする。
形から入る男なので、もちろん私より雪山用装備は充実しているのは間違いない!
まずは栂池ゴンドラ「イヴ」に乗って750m程高度を稼いでいきます。
すでに大量の雲が行く手を阻んでいるのが見えますね、、、
ちなみにゴンドラ「アダム」は唐松岳登山で知られる白馬八方尾根にあります。
ゴンドラ「イヴ」の中間駅はそのまま通過します。
約20分ほどの空中散歩を経て栂の森駅に到着、この時点の標高は1582m。
さっそく登山スタートです、、、と言いたい所ですがまだなんです。
この辺りは5月から6月にかけてミズバショウを楽しむことができます。
これはフキノトウですかね?
ここから再びロープウェイに乗り標高を稼ぎます。
眼下に大量のミズバショウが見えます。ロープウェイは5分ほどで駅に到着。
ここからは、徒歩で山頂を目指します。標高差約1100mってのは結構しんどい登山になりそうですね。
といっても登山道に入るまでは舗装道を進んでいきます。
6月ですが、まだまだ背丈より高い雪の壁が残っています。
すぐに栂池ヒュッテが、目の前に現れます。
どことなく尾瀬にある山小屋と同じような雰囲気がする。観光客も気軽に来れるエリアだからですかね。
今回のコースタイムを一応ですが載せておきます。いつも以上に参考にならん!!
9:00栂池山荘→10:14天狗原→11:31白馬乗鞍岳→11:57白馬大池山荘→12:42白馬乗鞍岳→14:25栂池山荘
行動時間5時間25分 (休憩時間30分含む)
栂池山荘の裏手に登山道(夏道)があるのでそこを登っていきます。
見た目は冬山ですが6月です。歩いていればすぐに暑くなってきますが、半袖にはならないほうがいいです。
いつも忘れてしまうのですが、めっちゃ日焼けします。
日焼け止めと長袖(首が隠れるもの)必須ですよ。
私はいつも忘れて首が赤くなって温泉で地獄を見ます、、、
なかなかの急斜面を登っていくのですが、ふと横を見るとまだギリギリ白馬岳らしきものが見えます。
栂池ヒュッテと栂池山荘がもうシルバニアファミリーのお家のようになってしまいました。
道無き道を踏み跡を辿りながら進んでいきます。
下を沢が流れているようなので、踏み抜いてドボンしたら私は即帰宅しようと心に決めました。
結果その必要も無くなりましたが、、、
たまに雲が途切れて青空が広がると、「これは山頂でワンチャンあるっしょ!?」と期待してしまうのは仕方のないことでしょう。
過去の私よ、お前は今日敗北するのだ。
あののっぺりした山は通過点である白馬乗鞍岳でしょうか?
樹林帯は半分程埋まってましたので半樹林になってました。半魚人の仲間ですね。
雪山ってこの解放感がたまらないんですよね〜。とにかく歩いているフィールドが広いし歩けるエリアの自由度も高いのが楽しいですね。
ちょっとガースーも取れてきたのでカッコイイ姿を拝むことができました。
奥へ奥へと延びる一本の足跡、遥か先を行く二人。
そうです、バテました。
sea-nov氏になかなか追いつけないまま進むと木道が姿を現しました。
天狗原に到着です。ここまでのコースタイムは夏道で1時間10分と書いてあります。
概ねコースタイム通りに来れている模様。
なんか天空の祠のようなものが見えます。夏だと道があるのかな??
ここは湿原のようになってたのかな?うっすらと氷のようなものが張っていました。
再びの登り、やはりsea-nov氏に追いつけない、、、
この日のコンディションがイマイチだったのか、それとも私が太ったからなのか、、かなりバテバテだったのをよく覚えている。
ピッケルをズボズボさして重たい体を上へ上へと押し上げていきます。
槍ヶ岳のグリーンバンドみたいなものが見えてきました。右からこれを巻いていきます。
おっちゃんが一人このニセグリーンバンドに特攻していきましたが、確執でもあったのでしょうか?
絶賛迂回中ですが、おっちゃんはズカズカ偽グリーンバンドと格闘中。
そもそも突入してイイもんなのか?
記念撮影中の偽グリーンバンドおじさん(勝手に命名)
再び突き放しにかかるsea-nov氏、必死に追いかける私。
しかしそれもお師匠が踏み固めて歩きやすくしてくれた道を進んでいるだけなんです。
親ガモの後ろを必死に歩く子ガモのようなもの、、、そうこれは不毛な戦いなのである。
ここで雪上から夏道へと突入、どうやら白馬乗鞍岳へと足を踏み入れたようだ。
岩と雪のミックスゾーンが非常に歩きづらい。
登りきった稜線はなんと暴風!!風が一気に体温を奪い去っていきます。
目の前には小蓮華山が見えています。
凍えるような暴風で耳が引きちぎれそうなくらい痛い、、、フードを被りひたすら前進する。
寒すぎと暴風の為、そのまますぐに通過します。
すぐに見えてくる白馬大池は雪の下に、赤い建物が白馬大池山荘ですね。
ほとんど埋まってしまっているのがここからでもよくわかります。
暴風が雲を吹き飛ばしたのか再びの青空。森林限界の為、木々の背丈も低く風が全く防げない。
岩ゴロゴロのエリアを通って白馬大池に降りるのですが、歩きづらい上に暴風でお師匠さんもここが一番しんどかったと後に語っていました。
だだっ広い白馬大池を歩く。夏はどうなっているんだろう?来年は夏に行ってみたいもんです。
ってもうすぐ夏が到来するんだけどね、、、感覚がおかしくなるな。
小蓮華山への道のりは緩やかに見えるので一安心です。
ここは吹きっさらしの為、建物の陰で昼ご飯を食べることにします。
飯を食べていると強風に地面の雪が巻き上げられてまるで雪が降っているようでした。
ん?何か舞ってる雪の勢いが強くね??
正面に見える小蓮華山にガスがすごい勢いでかかっていく、その時間僅か10秒ほど。
うん。間違いなくこれは雪が降っているんだね、、、
というよりは猛吹雪だねこれ、、、6月だよね今、、、
はい!ということでここで撤退となります。他にいた登山者も半数以上がここで引き返していました。
お師匠の判断は「経験の浅い二人を連れてこのまま進むのは危険」とのことで悔しいですが来た道を引き返すことに。時間的にも帰りのバスを考えると先に進んで様子をみるのは厳しかった。
再び白馬乗鞍岳を目指し進んでいきます。
中国からの団体さんはかなり軽装ですがそのまま進んでいました。
他の登山者も「大丈夫なのかな?」と心配していました。
暴風に雪の追加効果が付与された為、顔面に対しての被ダメージ量が明らかに増加しました。
もう、先がよく見えません。猛吹雪の中を必死こいて進みます。
あったかい温泉に早く入りたい。という気持ちを心の支えに下山中。
風をしのげる場所を見つけたので、ここでアイゼン装着しスピードアップを図ります。
白い渦のような斜面に吸い込まれていきそうです。
正面からもどんどん雲が上がってきます。
後立山連峰とは本当に相性が悪い私です。五竜岳も土砂降りの中で登ったし、鹿島槍ヶ岳の登山計画を立ててもピンポイントで悪天候で中止になったりと、私を拒んできます。後立山連峰が好きなのに片思いです。
来年こそは登ってやると後立山連峰に日々ストーキングしていこうと思います。
これから登ってくるパーティもいるようで、どうかお気をつけて。
栂池ヒュッテが見えてくると、雪も小降りになってきた。
安定の下界晴れてるぅ〜がそこには待っていました。
最後は斜面を尻を濡らしながら滑り落ちてフィニッシュ!
sea-nov氏も楽しそうで良かった。
下はこんな平穏な感じになっていたんですね。少し標高が違うだけでこんなにも世界が違うのか、、、自然の脅威を体感できた貴重な体験だったと思う。
全てを喰らうドラゴンのような雲。悔しい結果だがドラゴン退治はまたの機会に。
さらば白馬、、、の前衛峰。
せめて綺麗な高山植物を見てってねと廊下一面に飾られた写真。
さて帰りましょうと言いたいところですが、、、
やってきました白馬村!このまま帰るのも慌ただしいので急遽泊まって帰ることにします。
宿はsea-nov氏が手配してくれました。
看板に描かれている脱力系ペガサスは白馬村のキャラクターらしい。
名前はヴィクトワールシュヴァルブラン村男Ⅲ世、どことなく他人には思えない。
お世話になる白馬ロイヤルホテル。
ロイヤル感があるかどうかは別として、昭和の時代に流行ったであろう雰囲気が個人的には好きでホテルの方々もいい人でした。
白馬駅まで送ってくれたタクシードライバーさんに教えて貰った飯屋で夕食にします。
見た目が一瞬スナックぽいですが、お好み焼きや定食をメインでやってます。
チキンカツ定食を頼んだらなかなかの盛りでした。ちなみに定食にはこの他にラーメンが付いてきます。学生には絶対嬉しいやつです。
ホテルで周辺施設の地図をゲットしたのでコンビニまで酒を買い出しに行きます。
ホテルを出て大通りを左へ曲がって2個目の信号の所にあるコンビニね。
田舎特有のコンビニが少し離れてるやつね、、、とこの時は思ってた。
コンビニまでの直線ロードを歩く、、、
正面に見える後立山の稜線がとんでもないことになっていました。
雲が歯磨き粉のように山の上に乗っかっています。
コンビニに到着したものの片道30分かかってるじゃねーか!!!
あの地図どんな縮尺してんだ!!!まず1個目の信号が全然出てこなかったわ!!!
1時間かけてビールをゲットした私たちは、帰り道にホテルまであと数分の所でスーパーを見つけましたが瞬時に脳内の記憶から削除しました。
ツマミは白馬山荘で食べるはずだったのになぁ〜。
無事の下山に乾杯し、今日の反省会と次回の残雪期登山の場所をどこにするかなど話に花を咲かせました。
おはようございます!翌日も下界は晴れてますが、山の上は雲に覆われている模様です。
帰りのバスが八方のバス乗り場から出ているので、そこへ向かいます。
昨日歩いたコンビニからすぐの所にバス停があるそうで、まさか再びここを歩くことになると思わなかった、、、距離を知ってるのでなおさらしんどいです。
栂爺の親戚の栂婆でしょうか?まさかの血族に出会うことが出来ました。
正面に見える雲の侵食が激しい山は唐松岳ですかね〜。
山頂はどうなってるんでしょうね?そういや中国人の団体さんは大丈夫だったんでしょうかね??ニュースもチェックしましたが、何事もなさそうで良かったわ。
白馬ジャンプ競技場が見えてきたらバス停も近いです。
モンベルと合体したバスの待合所に荷物を置いて温泉に入りに行くことにします。
白馬八方温泉郷の湯は八方バス停から徒歩5分程の距離にあります。
料金は600円とリーズナブル。
内湯のみですが、ヒノキづくりの浴槽でゆっくりと体を癒すことができました。
開店と同時に入ったので貸切だったのも良かったかな。
蕎麦屋で美味しい場所が無いか検索すると林檎舎(りんごや)さんがHITしたので行ってみることに、、、便利な世の中ですね。
店構えのみで判断し飛び込みで入るギャンブル要素の飯屋探しも結構好きだったりするが、ここは食べログ先生に頼ってみました。
ここは欲張りなそば三昧をチョイス。おしぼり汁とは何でしょう?
ま、、まさか、、おっさんが顔を拭、、、いや何でもありません。
くるみだれ、蕎麦つゆは言うことなしにうまいです。
中でも私が一番おいしいと感じたのはおしぼり汁でした。いわゆるダイコンおろしと味噌を混ぜたタレなんですが、ダイコンの辛さに味噌のまろやかさが相まってなんとも言えない美味でした。
辛味餅が好きな人はおしぼり汁をかなり楽しめると思いますよ。
帰りのバスで安定の信玄餅クレープを食べて新宿まで帰りました。
来年の残雪期は立山へ行こうと約束をし、家路へとつきました。
◎まとめ◎
白馬岳に見事な馬蹴りを喰らい白馬村まで吹き飛ばされてしまった今回の旅でしたが、
白馬村での休暇をのんびり楽しめたと前向きに考えることとします。
山の天気は変わりやすいという言葉がありますが、言葉通りの自然の猛威と同時に怖さも知ることができました。
残雪期は必ず、この白馬大池のルートを踏破したいですが、真夏には白馬大雪渓から登ってみるのもいいかなぁ、、、
後、栂池高原からのタクシーが全然つかまらないのが意外でした。
看板に書いてあるタクシー会社にことごとく断られたのは登山撤退よりストレスマッハだった。
余談ですがヴィクトワールシュヴァルブラン村男Ⅲ世が密かに村長の座を狙っているそうなので、陰ながら応援していこうと思います。
白馬岳撤退記 〜おしまい〜