2016年2月4日 静岡県にある天城山を歩いてきました。
天城峠から万三郎岳、万二郎岳を経て天城高原ゴルフ場へと下りるルートです。
これぞ正真正銘の天城越えでしょう。
とにかく今回の旅は寒かった。
この旅を一文字で表せと言われたら「氷」と書くでしょう。
そんな雪が無くてもこんなに寒いなんて聞いてねえぞ!な旅の始まりである。
遅刻防止の措置を取るために、前日に茨城千葉にあるsea-nov家に一泊してからの出発です。ツカトンは録画してあった天城山登山の番組で予習していたので睡眠時間を削られていました。後、ガイドのお姉さんのケツばかり見ていました。
私は、勉強が嫌いなのですぐ寝ました。
まだ空が暗い中、天王台の駅にやってきました。
今日は久しぶりに新幹線を使っての登山なので楽しみです。
おもに弁当の話ですが。
東京駅にある駅弁売り場で、各自気に入った弁当を購入します。
名古屋行きのこだま631号がやってきました。
貧乏人のくせに新幹線を使ってしまった。
新幹線に乗ったらまずすることは駅弁をがっつく事です。ツカトンはビール飲んでましたが大丈夫なのか?
紐を引っ張ると発熱剤が作動する弁当は温かいご飯が食べれるので至れり尽くせりです。
牛タンの文字に瞬殺された私は1分もかからずにこの弁当を選んでいました。地味にとりそぼろも私的には高評価です◎
新幹線に揺られつつ日の出を迎えました。
7:23 熱海駅に到着しました。
そこから鈍行電車に乗り換えて河津駅にやってきました。
河津駅は、平日の午前中の為か閑散としていました。
近くにセブンイレブンが1件あるのでここで行動食やら水やらを調達しました。
少しすると東海バスがやってきました。このバスで我々は天城峠を目指します。
やはりバスの利用者もまばらでした。登山の格好をしているのは我々くらいで、後は不審者のようなおっさんが右に写っていましたが、よく見たらツカトンでした。
この界隈では有名?なループ橋をバスが走ります。
ただ橋がループしているだけですが、柄にもなくはしゃぐおっさん達。
そうこうしているうちにバスが天城峠に着きました。もちろんこのバス停で下車したのは我々だけです。
バス停の脇には登山届けを入れるポストもしっかりありました。
ここは百名山ブランドの力を見せつけられた気がしました。
看板の裏にある道が登山道のはじまりです。
それではコースタイムをご紹介。コースが長いので地図も2つを組み合わせたほど。
9:33天城峠登山口→9:42旧天城トンネル→10:58わさび田→12:07八丁池→13:42白田峠→14:56小岳→15:28万三郎岳→16:30万二郎岳→17:19四辻→17:33天城高原ゴルフ場
行動時間8時間(休憩時間40分)
序盤はこんな感じの整備された道を歩きます。sea-nov氏の後ろにいるのは犯罪者ではありません。ツカトンです。
朽ち果てた砂防ダムの遺構を横切っていきます。
しばらくしないうちに天城山隧道(旧天城トンネル)が顔を出します。
素人にはどーでもいいような細かいトンネルの寸法が記載されていますが職業柄、私としては興味津々な内容でした。
そんな天城山隧道は、昼間だからこの冒険感溢れる出で立ちですが、夜に訪れたらただの心霊スポットでしかないでしょう。
ツカトンを一人ここに放置してトンネルでの出来事をユーチューブにでもあげたら面白そうですが、ここは先に進むとしましょう。
ここには閉鎖されていましたが、トイレと休憩所がありました。始まって間もないので先に進みます。ちなみにここで少し雪がちらつきました。ちょっと意外。
木道や立派な橋を渡って九十九折りに高度を上げていきます。
安心の百名山ブランドなので登山標識も立派なものが立っていました。
天城峠の分岐にさしかかりました。
まずは八丁池を目指しますが、万三郎岳まで11.9kmてなってるな。
心の中で「見なきゃ良かった。」とつぶやきました。
このあたりから雪?が現れだしてきます。
よく見るとICEBOXのような氷の粒が散らばっていました。
食いしん坊のsea-nov氏とツカトンが誤って食べてしまうのではないかと心配で仕方がありませんでした。
登山道は部分的にトラバースする箇所もあったりします。ICEBOXのトラップにも引き続き注意をしつつ進んでいきます。
天候は曇天ですが、雨は降らない予想だったので心配はいらないでしょう。
展望もゼロではなさそうですね。
雪も少し増えてきました。
ヒメシャラの樹林帯を進んでいきます。
このヒメシャラ触るとキンキンに冷えています。見た目が冷たそうですからね。
「この辺はヒメシャラがたくさんあるんですよー!」と前日にテレビで予習していたツカトンのドヤ顔にイラっとしました。後、やたら鳩胸なところもイライラ要素が高いです。
人が一人分入れそうな空間がありました。これでも木は生きているからすごいです。
ヒメシャラ道を奥へ奥へと進んでいきます。縦走路なので平坦な道が続き距離が稼げるのが救いです。
天城山付近の山々が見えますが、地味な山域すぎて何の山なのか全然わからない。
痩せ尾根を進んでいきます。
何かが見えてきました。なんか水に緑のものが沢山浮いています。
このあたりは箱庭みたいな広場になっていました。
さっきの緑色の正体はわさびでした。確かにわさび田があると地図に書いてありました。誰かが管理しているのでしょうか?
再び山の斜面をトラバースしていきます。左に転げ落ちても死にはしないだろうが、怪我は免れません。慎重に進んでいきます。
天城山方面に進むにつれて雪が増えていきます。
いつのまにかICEBOXみたいだった雪も普段見かけるような雪へと変化していました。
どこで切り替わるのかが気になりますね。
八丁池がだいぶ近くなってきました。お腹も空いてきたので湖畔でランチタイムが楽しみで仕方がない。
ここにもトイレがありました。
トイレから少し下って進んでいきます。
青空も見えてきてテンションも上がります。
隙間から池らしきものが見えます。
やっと八丁池に到着しました。待望の飯タイムです。
池は分厚くは無いものの氷が張っていました。
氷が張っているということは結構寒いということになります。そして気づいてしまったのです。結構どころかくっそ寒くね?
ベンチがあったのでここでお昼ご飯にするんですが止まってると寒い。カタカタ震えながら準備します。何故か分かりませんが前回の伊吹山より寒い気がする。
kitasennju-yamabu.hatenablog.com
安定のインスタント麺、一風堂を持ってきました。冷え切った体にラーメンはあったまります。
池のほとりで休憩していると凍死しそうなので先に進みます。ここで他にも休憩しているグループがいましたが、皆さん来た道を帰って行きました。誰も万三郎岳行かないのね。
池の一部に飛び移りたくなる岩があったのでジャンプしてみました。
躍動感のある1枚をツカトンが撮ってくれました。
天城山縦走路って長いのね。万三郎岳までまだ6kmもあるのか。そしてその先に万二郎岳もあるんだから長い。
再び雪がうっすらかかった登山道を進んでいく。依然軽アイゼンは一切いらないですが。
倒木が目立つ登山道を進んでいく。
縦走路は道のりが長いので日没との戦いになりがちです。ただでさえ寒いのに陽が落ちたらどうなってしまうのでしょうか。
地図まで記載されている神標識が多いのも天城山の良いところですね。
甲武信岳で猛威をふるったトラップ「乳首」が牙をむいてきます。乳首耐性の高い我々には赤子の手をひねるようなものですね。
kitasennju-yamabu.hatenablog.com
こんなふうに倒木が、登山道を塞いであることもありました。
シャクナゲがシーズンには満開であろうトンネルを進んでいきます。
今はというと、そう。ただのトンネルです。
万三郎岳の手前にある小岳という小ピークをまずは越えなければなりません。
左手に目をやると富士山が見えました。展望があまりないことで有名な天城山ですが、冬の木々が裸の状態なら富士山もこのように望むことができます。
岩場の急登を登っていきます。
なんちゃってなロープ場も登場したりします。ツカトンを縛ってチャーシューにするのに使用したほうが役に立ちそうなくらい必要なかったです。
途中、「ヘビブナ」と呼ばれる名所があるので寄り道します。ここでもツカトンが予習していたのでドヤ顔していてイラっとしました。後、やたら首が太いのがイライラ要素を高めます。
登山道から3分ほど外れるとヘビブナがあるポイントに着きます。
ヘビブナはその名前の通り蛇のようにクネっとしていました。
どうしてこのような育ち方をしたのでしょうか?不思議なものです。
ツカトンが下ネタに走る前にヘビブナを後にしたほうが良さそうなので先へ進みます。
小岳に到着しました。なにもありません。うそつきました。ベンチがありました。
ここまで来れば万三郎岳まで後少しです。
よく見ると木が凍っている。寒いわけだ。霧氷の世界にいつの間にか足を踏み入れてしまっていたようです。
太陽の光に霧氷がきらきらとゆらめいていて宝石のようでした。
霧氷の量に思わず足を止めてしまう一行。これは嬉しい誤算でした。
青空と霧氷の写真はそれだけで絵になります。
そして霧氷➕富士山の合わせ技も鉄板です。
もう一つの特徴が、山から海を眺めることができます。
いつかやってみたい標高3000mから海抜0mへの登山。海を見るたびにそう思ってしまう。付き合ってくれる酔狂な方お待ちしてます。
15:28 万三郎岳に到着しました。金峰山とかに山頂標識と同じテンプレートですね。
一等三角点もしっかりありました。
天城山という名前の山は無く、最高峰はこの万三郎岳です。特に展望がこれといってあるわけでもない残念山頂なので先に進みます。
万二郎までの道のりはなかなかもって滑ります。
慎重に下るsea-nov氏、急な下りの為、油断するとベガの下段強キックを強制的に繰り出してしまいます。
これだけ滑ると下段強キックを連発してしまい春麗がKOされてしまうでしょう。
どうでもいいですが、ツカトンはエドモンド本田のさば折を春麗に使うのが好きだったそうです。
ほんとどうでもいいな。
ゴルフ場周回ルートの人はシャクナゲコースを通るんだろうけど、縦走路を歩くと万二郎岳へ行くコースを選択するので我々は通れません。
ストックを持っていないツカトンは下りでは滑りまくって転んでいました。
また笑うと自分も転ぶ恐怖があったのでほどほどに笑いましたが、結局転びました。
ぼろぼろの梯子上り、万二郎岳を目指す一行。
木々のすき間から垣間見えるのは万二郎岳でしょうか??登り返しが地味につらいな。
アセビのトンネルがシーズンであれば美しいであろうトンネル。
そうです。今はただのトンネル。ツカトンがただの豚なのと同じです。
私の鼻水がつららになる前に登山道に立派なつららがありました。
とにかく今回の旅で伊豆のエリアは寒いのが良く分かった。やはり海が近いのも原因なのだろうか?
アセビ?のトンネルを進んでいきます。平坦な道は後半の疲れた身体にはありがたい。
茶色いピラミッドみたいなものは人工のお山だそうです。
人工物は形が整っていますね。
登山道から今夜のお宿が見えました。ゴールが見えているのに遠い。
登山では良くあることです。
馬の背という山には良くあるチェックポイントを通過すると霧氷ポイントが再びやってきました。ここは規模がさっきの比では無かった。
気付けば夕暮れも近い、少しペースを上げて万二郎岳を目指すがなかなか着かない。
山の上に設置された風車が物悲しく回り続ける。本当に人に会わない。そんなに人気無いのか天城山よ。
山頂直下の最後の登りを行く。そして風が地味に強くて寒い。樹林に入りたい。でも展望が無いから開けた所にいたい。いや、なにより早く下山してビールが飲みたい。
16:30 万二郎岳に到着。まずい陽が沈みそうだ。軽く行動食を摂ってすぐに歩き出す。
ゴルフ場への下りの道のりがまた足元がツルツルと滑る。チェーンスパイクや軽アイゼンがあってもいいかもしれません。
カメラの性能がいいのか明るく見えますが、実際はだいぶ暗いんだぜ!ちょっとこわい。
それとは裏腹に氷の彫刻に足を止めてしまう。急がないといけないのは重々承知の上ですが。
歩いているとザックが木にぶつかる。
その度にシャラーン♪と心地よい音が鳴る。
シャラーン♪シャラーン♪と自然が作り出した楽器が奏でる音色に癒されつつも歩を進める一行。
時折、雪から顔を出している丸太が滑る滑る。sea-nov氏が豪快にひとりドロップキックをかまして悶絶していました。
木の実のようなものが凍っているとやたら美味しそうにみえます。
霧氷・霧氷・霧氷の銀世界をツカトンを先頭にして歩かせたら登山道を外れてしまい一瞬ですが遭難しかけました。すぐに登山道を発見したので良かったですが、周りが似た景色が広がっているのでヒヤッとしました。
そんな霧氷のトンネルをゴルフ場に向けて足早に進んでいきます。
ゴルフ場への道のりもあと1.5km。ゴールが近い。
遭難防止の目印にCDがぶら下がってました。
こういうの何のCDか気になってしまうタチなんだよな。
「できる!いちばんの年賀状」というCDでした。確かにいらないわな。
最後のチェックポイントである四辻まで来ました。長かった。
棒になりつつある足をひきずって歩く。(sea-nov氏はガチで転んだダメージで足ひきずってたが)
17:33 ゴルフ場駐車場に到着。
後はバスに乗ってホテルへ向かうだけ。ですが、ゴルフ場はお休みなんだが本当にバス来るのか??
駐車場には閉鎖中のトイレがあるだけ。ホテルまでは徒歩3km。
時間は刻々と過ぎていくがバスは来る気配が無い。
歩きますかと腹をくくろうとしていたら、1台の車が目の前で止まる。
たまたま霧氷の写真を撮っていたおじさんが、「乗ってく?」と
路頭に迷っていた我々に救いの手を差し伸べてくれました。
これにはただただ感謝です。おじさんありがとう!!
路面は凍結しまくってたので歩いて下るのは中々に難儀だったと思います。暖かい車でおじさんと談笑しながらホテルに到着したのはすっかり陽が沈んだ後でした。
◎まとめ◎
天城山はその地味なイメージと展望の悪さから百名山でありながら消化試合的な扱いをうけたりもしている不遇な山域であったりしますが、実際に訪れてみるとそんなことは無かった。
期待できない展望も冬なら生い茂る樹林に邪魔されずに富士山や海を拝むことができますし。一面の霧氷が出迎えてくれる見所満載の山でした。訪れる時期によってはこんなに楽しめるんだなと痛感した旅でもありました。
公共交通機関を使用しないと縦走するのは大変かもしれませんが、機会があれば是非天城山縦走路を歩いてみてください。
天城山の旅 後編に続く。