【笠ヶ岳登山】笠新道〜クリヤ谷 北アの秀峰へ挑む、北千住山部の遅い夏合宿 〜後編〜
2017年9月30日〜10月1日に北アルプスの笠ヶ岳に登山してきた話の後編を紹介していきたいと思います。
笠新道を経て笠ヶ岳の山頂を目指す我々は、想像を上回る過酷な急登の連続に苦戦を強いられボロボロの状態で笠ヶ岳山荘にたどり着く。
言葉無く、荷物をテント内に搬入するがとてつもなく外の空気が寒い、、、
とりあえず寝袋の中にくるまって暖をとったのだが、ここで私の記憶は途切れてしまった。
どれくらいの時間がたったであろうか、私はテントを叩くような風の音に目を覚ましたのであった。
目を開けるとテント内は真っ暗で皆寝息を立てて深い眠りについていた、、、
時計をみると時刻は20:30をまわっていた。
やっちまった!!!完全に夕飯食いそびれた!!!
ガサガサと音を立てたせいかジャムロが目を覚ます。
やけん「飯も食わずに、完全に落ちてしまった、、、」
ジャムロ「全員夕飯も食べずに落ちましたよ」
過酷すぎて全員、飯も食べずに力尽きたのは初めての経験でした。
私は翌日の行程を練り直す必要があるのでは無いかと思った。
sea-nov氏も起こしてクリヤ谷方面から下る場合のコースタイムを地図で確認しつつ、
山頂を踏んで笠新道で戻るか、それともクリヤ谷を経て下山をするかを話し合った。
ご来光を山頂で待つと下山時間が怪しくなってくるので、山頂を踏んだらすぐにクリヤ谷方面へと下ることにした。
再び体力を回復するべく眠りについた我々はAM4:00に起床しテントを撤収して出発の準備をします。
やっと飯にありつけましたが、時間短縮のため行動食でさっと済ませました。
山荘は水を補充できるのでこぼちゃんに水を汲んでもらい返却してもらう予定だったのですが、見事に寝落ちしたので朝に補充することとなりました。
sea-nov氏と私は「ジュースおごってくれてもいいんだよ」と圧力をかけましたが、山荘の売店は早朝閉まっていました。
あれだけ寒かったのに外の気温も上がり風も無く過ごしやすい環境へと変わっていた。
それにしても山荘とテント場の登りはやはり楽では無い、、、
受付は空身で行ったが今はテント泊装備で前日のダメージも残ったまま。
ふと顔をあげると夜明け前の槍ヶ岳が見える、向こう側からも同じようにこちらを見ている人々がいるというのは実に面白いですね。
山荘に到着しましたが、水道は凍ってでませんでした。
前日の受付の際に「水道が凍る可能性があるので今のうちに補充しておいてください」と言ってたな。
こぼちゃんに私の調理水を渡すと同時に取水制限をかけました。
やけん「許可無く水を飲むことを禁じるッ!!」
こぼちゃん「イエッサー」
やけん「声が小さいッ!!!」
こぼちゃん「サーイエッサァー!!!」
茶番はほどほどにして先に進みましょう。
それでは2日目のコースタイムです。(赤い線が2日目のルートです)
5:10笠ヶ岳山荘→5:30笠ヶ岳山頂→9:08雷鳥岩→10:49第一水場→15:49最終渡渉地点→17:21クリヤ谷登山口
行動時間12時間11分 (休憩時間2時間含む)
合計行動時間24時間54分(1日目12時間43分 2日目12時間11分)
2日間で1日まるっと歩いたというよく分からん事になった。
笠ヶ岳山荘からは山頂はもうすぐ目の前。
細かい岩だらけの登山道を進む。
空が赤く染まってきた。山頂でご来光見れちゃうかもしれない、、、
20分もしないうちに山頂が見えてきました。
すでにご来光まちの先行者達がいます。
5:30 笠ヶ岳山頂に到着です。百名山ハンターとしては40座目のお山となりました。
狭い山頂なので先を急ぐことに、ご来光もまだなので途中で拝めればいいかな〜。
おっと忘れちゃいけない三角点にもしっかりタッチ。
今日も天気は良好で焼岳、乗鞍岳、御嶽山の眺めもばっちりでした。
残すところは御嶽山ですが、噴火警戒レベル1となった今も剣ヶ峰を含む山頂エリアは通行不可となっています。
山頂からの景色その2、白い部分は雲海。
ここからが本番である、クリヤ谷コースを進みます。
このコースは渡渉する場所も幾つかあるらしく増水時は通行できない。
カタカナの名称のコースというとどうしてもヌクビ沢コースを思い出してしまう、、、
あれも渡渉を繰り返した難ルートだったからな。
北千住山部史上最も危険な登山道の話↓↓↓
kitasennju-yamabu.hatenablog.com
そして10分もしないうちにご来光がやってきた!
山頂で待っても良かったんじゃなかったのか?
この太陽が沈む前に登山口までこぼちゃんを連れて行くのが私のミッションでもあるのだ。
山体が赤く染まるモルゲンロートも見ることが出来ました。
というよりは足元がモルゲンロートしてた、、、
クリヤ谷側から見た笠ヶ岳もカッコイイ!
ご来光見て、下山を開始する登山者が見えますね。
山頂で拝めなかった分、先へ進んでるから余裕があるぜ!!!
しかしこの後全員に抜かされる事を私は知らない。
クリヤ谷コースも開放感抜群の稜線歩きを楽しめます。
ハイマツ帯を進むと再び岩場が登場します。
今日もこぼちゃんは岩場でのスピードが格段に遅い、sea-nov氏とジャムロの姿が遠くなっていく。
登山道には霜柱が、もう10月になったんだよな。
後1ヶ月もすれば人を寄せつけない閉ざされた世界に姿を変える北アルプスの登り納めに笠ヶ岳に来れて良かった。
巨大な湖??と思いましたがこれも雲海でしたね〜。
激しい稜線、キレットより凄いんでない?
まぁ、あそこを通るわけではなく右側を巻いていく道がありました。
荒々しい岩壁の脇を通過、こぼちゃんの岩場性能が介護レベルなのでどこに足を置くかを指示しながら進んでいきます。
高度感があるからビビりまくってるのもあり、すっごい時間がかかります。
今日の穂高連峰も朝日に照らされ輝いています!
高度感のある岩場を越えたおかげでこぼちゃんも少し岩場適応力を上げてきました。
まずは雷鳥岩と呼ばれる奇岩のあるポイントを目指して歩く一行。
たいした事ない道の岩場で何故か苦戦するこぼちゃん。
水をがぶ飲みしようとするので阻止する。
岩の要塞の脇を通過中。
たしかにこの稜線は歩けないわな、、、
新穂高ロープウェイが見える。新穂高を出発したのがかなり昔に感じてしまう。
笠ヶ岳がもうあんなに遠い、水の残量がペットボトル1本半だったのだが水を飲もうとしたらペットボトルが無い、、、完全にどこかに引っ掛けて落としたっぽい。
しかも満タンのほうときたもんだ、、、クリヤ谷コースでいろはすのペットボトル拾った方は元払いで私宛に送ってくださいね。
9:08 雷鳥岩に到着。山頂からコースタイム2時間10分ってなってたけど3時間20分かかったぞ!
笠ヶ岳のコースタイム設定って少し速いんじゃない??全然巻けないんだが、、、
雷鳥岩付近からの景色はアルプスを独り占めした気になれる景色が広がっていた。
そんな事より私はいつになったら雷鳥に出会えるのでしょうか?
アンチ雷鳥のアビリティを私から外してください、、、
途中ですれ違った登山者から「あの子(こぼちゃん)の荷物を持ってあげた方がいいと思いますよ〜」と助言をもらったのでコボちゃんのザックの中身を3人で分けることにしました。
よってこぼちゃんのザックの中は飲み水を除いてほぼ空になりました。
この先は谷へと下るので笠ヶ岳も見納めです。
飛行機雲と笠ヶ岳に別れを告げて先へと進んでいきます。
槍ヶ岳にも別れを告げる。心折れそうな時も見る事で頑張れた心強い味方の援護はここからはありません。
次の目的地である第一水場を目指します。このクリヤ谷コースは第一と第二の水場があるので残りわずかとなった水の補充を行いたいと思います。
このような高度感のある岩場ではこぼちゃんは特に遅いので手取り足取りで進んで行く。
下に見えるのは新穂高かな?下山は中尾高原口だから長〜い舗装道歩きも待っていると思うと憂鬱になりますね。
水が尽きる前に第一水場まで到着することができました。
ペットボトルと調理水を入れる容器に水を補充して昼食タイムにします。
ようやく夕飯で食べるはずだった食材を使うことができる。
まずはおでんを前菜代わりにいただきます。重量こそあるものの温めるだけでおいしく食べれる楽々食材だと思います。
そしてメインディッシュがこいつの登場だ!
楽しみにしていたステーキをクレイジーソルトでシンプルに味付けしたものである。
本当はテント場でワイワイしながら食べていたであろうステーキ。
ジャムロに箸を取られてしまった私が素手で肉に食らいつくワイルドスタイルを確立した瞬間である。
昼食の後、再び出発します。
sea-nov氏とジャムロに次に会ったのは登山口にある駐車場であった、、、
こぼちゃん介護組の私のサバイバルが幕をあける。
こぼちゃんのがぶ飲みに注意しながら進みます。
古〜い看板が転がっています。こいつの数字が0になった時、我が任務は完了する。
何度も地図を確認しながら次の第二水場を目指します。
雲がだいぶ上がってきたようで太陽はその力を奪われかけていた。
ヘロヘロのこぼちゃんと樹林帯を駆け抜ける!!気力はないのでのっそりとこんな大木をくぐったりと登山口を目指して歩き続けます。
登山道の脇を沢が流れている。第二水場は近いのかな?
木に生えたキノコは見つかるが、第二水場が見つからない。あったのは途中にしょぼい水が汲めそうな沢くらいだったな・・・それだ!!!
第二水場を通り過ぎていたことにようやく気付いた我々は、黙々と登山口を目指して歩きます。
クリヤ谷コースも樹林地帯に入ったことにより登山道も落ち着きを見せるかのように思えた、、、しかしそれはとんだ勘違いであり、岩がゴロゴロと転がる歩きづらい登山道が延々と続いていた。
沢の幅も広くなり対岸に渡るのも岩を飛び移らないと厳しいです。
浮き石も混ざっていたりするので気をつけないとすっころびます。
ここに来るまでにこぼちゃんは何度か転んでました。
さわらの木は以前の職場ではちょいちょい見かけた木で、なんかこんな場所でばったり会えて嬉しい。
力強く天まで伸びていました。なんだか元気がでました、、、
透き通る沢の水、第一の渡渉地点が登場。
うまく渡らないとドボン!!!
こぼちゃんはこういったドボンポイントでは安定のドボン率を誇っているので私は心配でした。
身も心も砕け散りかけているこぼちゃんに試練が訪れる。
核心部である岩から岩への飛び移りを越えるこぼちゃん。よっしゃ!よくやった。
1番の難所をあっさり越えたのに何故かその先のただの岩を越えられないこぼちゃん。
今まで生きてて1番辛い(本人談)
生きて〜る 生きている その現だけが ここにある 生きることは サンサーラ アァ〜♪
こんなにも辛い思いをしながら何故山に挑んでいくのか、、、そんなこぼちゃんの遅い夏合宿に密着した。
来週のザ・ノンフィクション 〜こぼちゃんと山2017〜それでも山に行く理由
画像が乱れました、大変失礼いたしました。
さて本題に戻りましょう。
陽はすでに傾き始めていた。暗くなる前にできれば下山したい、、、
こぼちゃんはもう大きな岩場はケツで滑りながら下っていた。
運良く賢者の杖を発見したのでこぼちゃんに装備させる。
これでいくらかマシになるはず。
最後の渡渉地点に到着。
最後まで抜きつ抜かれつやってきたファミリーにもここで抜かれていきます。
これできっと全員に抜かされたはずです。
地図でチェックするとこの小さな滝が穴滝と呼ばれるものだと思う。
最後の渡渉地点も無事に突破する。
ここは動画も撮ったけどなかなかにヘタレ具合を発揮してました。
久しぶりの赤看板は12まで来ました!こぼちゃんを鼓舞しながらあと少しの道のりを進む。
肉厚な岩壁、そういえば錫杖岳が近くにあるけどあそこへの壁に取り付いているクライマーを何人か登山道で見かけたな。
17時を回った頃に建物の屋根らしきものが見えてきた。
笠ヶ岳クリヤ谷コースの登山口に到着。
私も足がパンパンで最後の最後はカニ歩きで下りました。
立派な旅館、このまま宿泊したい気分ですね。
燃え尽きたこぼちゃん。よく頑張ったよ、、、
本当に草野球やってんのか?という疑問が残る体力だったけど。
どうでもいいけどスライムの形した石ころ。
槍見館の風呂の多さに驚きますね。
そうだ、下山後は温泉と相場は決まっている。
やりきったという達成感をこぼちゃんと噛みしめながらウイニング?ロードを凱旋していたが何か忘れてない?
sea-nov氏とジャムロはどこだ?
こんなところに新穂高の湯なる野天風呂があるけど橋から丸見えなんですけど、、、
この橋を渡ったら駐車場には二人が待ってました。先に車回収しといてくれたのね〜
帰りに寄った温泉は「ひらゆの森」料金は500円と良心的な価格。
露天風呂は種類豊富で内湯も広く、宿泊施設もあるので登山の後に1泊してのんびり過ごすのも良いかもしれませんね。
帰りは唐揚げ定食と豚汁でお腹を満たす。
次の登山は那須岳にしようと約束を交わし、帰路につきました。
◎まとめ◎
笠ヶ岳は圧倒的な破壊力を持ったハードパンチャーな山域であり、北アにヒーヒー言わされに行くというこの旅の目的を容易に達成することができました。
それにしてもコースタイムが最遅レベルだったのですが、皆さんはコースタイム通りに歩けているのでしょうか?
ピストンだとあのキツイ笠新道を戻るのかと心が折れそうになるので増水の心配が無ければ特に危険箇所も無いのでクリヤ谷コースを歩くのをお勧めします。
何と言っても稜線歩きが気持ち良い山なので今年の夏は北アルプスに弄ばれてボロ雑巾のように捨てられたい方は笠ヶ岳へチャレンジしてみてください。
〜笠ヶ岳登山〜北千住山部の遅い夏合宿 おしまい